時を超えて 父と私とJリーグ

【時を超えて 父と私とJリーグ】
1993年5月。日本に初めて出来たプロサッカーリーグ・Jリーグ。
カクテル光線が無数に注がれたスタジアムは当時斬新で、サッカー少年達を虜にしました。
私もその1人。父に連れられ国立競技場へ。目の前で生まれたFWラモン・ディアス選手(横浜マリノス)のゴールは今でも脳裏に焼き付いています。

あの時、私の夢が決まりました。 【サッカーを仕事にしたい】。

選手としての才能は皆無で、小学校、中学校、高校と、全ての壁を乗り越えられなかった自信があります笑。
父は、三浦知良選手や武田修宏さん、北澤豪さんら黄金期のヴェルディ川崎勢や、木村和司さんやビスコンティさんら横浜マリノス勢が輝く初代選手名鑑を買ってきて「プロになれるのは一握り。お前じゃ無理だ」。と早々に審判を下しました。下手だったくせにショックでした笑。


「サッカー実況が出来るなら」と、父は次の夢を後押ししてくれました。しかし就職が叶っても【サッカー実況】の道は一筋縄にいかず。転職をし、社会人10年目でサッカー王国・静岡に辿り着きました。
静岡では、高校サッカー実況やJリーグ取材をさせていただき、幸せを感じる日々でした。あとは、Jリーグ実況。

そして、リーグ発足から30周年の今年。数々の方の努力があり、縁があり、偶然も重なり、初めて【Jリーグ実況】をさせていただける事になりました。
あの国立競技場から30年。叶わないと思っていた事が、時を超えて現実になりそうです。
当時、苦労して国立競技場のチケットを手に入れてくれた父。
就職内定を見届けた夏の終わり。突然天国に旅立ちました。いま掛けてくれる言葉があるとすれば「よかったな」でしょうか。それとも「まだここからだ」と、厳しい表情で言うでしょうか。

※二十歳になり、一緒にお酒を飲めるのを本当に喜んでくれていました。

迎える、Jリーグ初実況。
機会をいただいたのは、蹴球都市=藤枝に生まれ、創設15年目。今季J2に初参戦する藤枝MYFCのホーム全試合です。DAZNで、Daiichi-TVアナウンサーが輪番でお届けします。

まずは2月25日(土)。藤枝MYFC vs V.ファーレン長崎。藤枝にとってホーム開幕戦。初のJ2の舞台で、超攻撃的サッカーを披露します。J1にもいた 経験豊富な長崎は、今季初白星を目指す戦いです。

解説:小村徳男さん(J発足年度からの名DFです)
リポート:松原大祐アナ です。

2023年2月25日 13時50分。
当たり前じゃないこの機会に感謝し、
放送席に座ります。

30年の時を超えて。
あの時、国立競技場に連れて行ってくれてありがとう。