第103回 全国高校サッカー選手権が閉幕しました。
元サッカー少年で、出身校が東福岡高校という強豪だった事もあり、選手権全国大会で実況をする事は夢でした。
「そんな簡単じゃないよ」と親からは言われていました。私自身も正直「無理なことを願っているんだな」と思っていました。
特に、母校の実況をするなんてことは。
大学を卒業し、高知県でアナウンサーになりました。
社会人10年目。どこよりもサッカーに熱い静岡に来られました。
そこで、どこよりも熱い実況アナウンサーに出会えました。
ゼロからサッカー実況を習い、静岡に来て2年目に、全国大会で実況できました。
全国43社。参加アナウンサーは50人強。
「メイングループっていうのがあって、そこに選ばれないと2回戦以降は実況できないんだぞ」 と焚きつけてくれたのが
名誉ある放送席に座ってきた伊藤久さん・秋元さん。私は背中を追い続けてきました。
自力の無い私は8回目の参加で、ようやく辿り着くことが出来ました。
【メイングループ↓】左側2番目から 福岡放送・須田アナ。秋元さん。読売テレビ・平松アナ。広島テレビ・小野アナ。
(秋元さんは準決勝実況。カッコいい背中を後輩に見せてくれました)
この5人で実況したのが1回戦から準決勝までの計12試合(通常1人1試合)。
全員が自分の限界値を突破して戦う期間は、毎日が刺激的でした。
私は3試合を実況しましたが、想像を超える感動が待っていました。
それは、縁で結ばれた対戦カード。
1回戦。静岡学園 VS 広島国際学院高校。
中学時代を過ごした広島の代表校との対戦で、同級生や広島の景色を思い出しながらしゃべりました。
2回戦。静岡学園 VS 高知高校。
社会人になり9年を過ごした高知の代表校との対戦で、お世話になった方や桂浜などの景色を想起しながら実況しました。
この時点で、自分の中で運命めいた何かを感じていたのですが、
準々決勝のカードが、静岡学園 VS 母校・東福岡高校。
静岡学園は、何と言っても地元担当校であり、2019年度に日本一の景色を見させてもらったチームです。
実は、優勝した後から川口監督には「いつか静学と母校の実況がしてみたいです」と伝えていました。
すると。
「静学が強くあり続け、東福岡が強くあり続け、あなたが上手くならないといけない」との
言葉をもらいました。一筋縄に叶うはずがない夢でした。
しかし。
“あの日から” 時を超えて。
2025年1月4日。その瞬間は訪れました。
先輩方や、一緒に切磋琢磨した仲間たち。
そして、運と縁。
その全てに導かれ、私は等々力の放送席に座っていました。
そして、80分経過。PK戦で試合終了。
何日経っても、まだ夢だったような。
間違いなく、人生の記憶に刻まれる実況となりました。
解説の元日本代表=松井大輔さんは、優勝経験のある両校をたたえながら、進化するスタイルを
愛を持って伝えてくださいました。
何度も助けていただき、ありがとうございます。
思いが強すぎて内容がまとまらないのですが、
今回は、「強烈な信念」と「貫く継続力」があれば、
自分の力以上の何かが起きる、ということを実体験しました。
きっと、この先の人生を支える経験だったと思います。
最後は、その「信念」と「継続力」を体現されてきた尊敬するお2人の写真で失礼します。
(右)伝統のテクニック・静岡学園の礎を築いた井田勝通前監督。
(左)伝統のサイド攻撃・東福岡の礎を築いた志波芳則元監督。
ともに国立競技場でチームを初優勝に導いた高校サッカーの名伯楽です(撮影:1月2日)。
このお2人に比べれば、私の信念や継続力なんて
本当に小さいな、と思います。
もっと。まだまだ。一層頑張らなきゃな、と思います。
高めることで、また新しい景色を見られると信じて。